間とタイミングをうまく合わせてアニメーションのキャラクターを動かす
見る人を引き付けるテクニックの1つが、「間」を含んだ演技の緩急なのです。人間が普段意識のうちにしている動きですが、アニメーションとして作画する場合とても重要な要素です。
自然な動きに必要なもの
よく動くアニメーションは見ていて気持ちいいのですが、たくさん動くからよいアニメーションとは言えません。なにより、人は絶えず動き続けているものでしょうか? 逆に、止めたり間を作ったりすることが、その動きをよりよいもの、人間臭いものにするということがあるのです。動きの不自然さを解消して、キャラクターに意志を付け加える技、つまり「動きを止めること」がここでのテーマです。
アニメーションをつくるときには役者になろうなんて言いましたが、そんなことはわからないと思われたかもしれません。演技といっても、まず自分だったらどうするかというレベルでいいのです。キャラクターの代わりに自分がその場にいたらどう反応してどう動くのかと、まずはそれで充分です。日常生活の中の動きを想像することから始めましょう。
ただ動いているだけけでキャラクターに感情が見られない、どうも不自然な人間的でない動き。それは無意識な動作のため見落としてしまっているのです。それはすなわち、動きの緩急「間」です。
演技と間のタイミングの妙
「間」というものは落語や漫才でもよく言われています。決められたネタなのに、まるでその場の思い付きで花否定るようなボケとタイミング、何回聞いても同じところで笑ってしまいます。これは演技のほかに「間」があるからこそ楽しいのです。
それではどのくらいの時間を止めたらいいのでしょうか? 残念ながら、それに答えはないと思います。ある程度の基準はあるにしても、こんな時人間はどんな動きをするかというその人の感覚、感性が現れるところですから、はっきりとした数字にはならないのです。これが「自分で演技してみて」と提案する理由です。つまり、それこそがその人のアニメーション個性になるとも言えます。実際に自分で演じてみるのと友達に演じてもらうのとでは、見ればわかると思いますが、全然違う動きだったりします。
1つのモーションの中でここからここまで難病とか、何フレームとか頭で考えてもよいアニメーションにはならないでしょう。シナリオなどのト書きやセリフを頭の中で動かすのと、自分で感情を入れてしゃべりながら演技するのでは全然違うことに気が付きます。これは「動作の時間」ではなく、「演技」と「間」の時間であるという意識からの違いなんですね。理屈で数字を覚えてもだめで、感性による「タイミング」と「間」が大事なのです。
人間として不自然でない動きがわかって来たらそこからキャラクターによる違いへと発展していけるだろうと思います。ストーリーと絵コンテの流れをちゃんと見て、キャラの性格を考えて動かしていく。これは実写の場合でも同じことですから、映画やドラマを見ていろいろ勉強しました。絵コンテと演出家の偉さがよくわかってものです。
前のカットと次のカットで違うポーズになっているとんでもないムービーを見ることがありますが、それは1つ1つのモーションやポーズがつながってアニメーションになるという流れを無視したひどいものです。前の動きがあるからこの動きになりさらに次の動きになっていく、この流れが1つの映像になっていくのですから、1つ1つのモーションは独立したものではないということを忘れないでほしいです。絵コンテは大事ですね。
派手なアクションは動きも早くごまかしが聞くのですが、さりげない日常的な動作ではそうもいきません。普段しているはずの無意識な動きを観客も無意識に知っているわけですから、作品を見ている人たちに、自然、不自然を敏感に感じ取られてしまいます。
キャラクターの代わりに自分がそのムービーの中に入った気になって作ってみましょう。それだけで、動きは自然で人間的なものになるはず。止めることによるアニメーションの良さを発見してください。
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