漫画的に、面白おかしくデフォルメされた動きも、簡単にコンピューターでできるようになりました。
そこには最新技術であるCGを見るという楽しみがあります。でも、ムービーとしてみてわくわくするかどうかというのは、モーションがちゃんとアニメーションしているかということのほうが重要であると思います。アニメーションとはいったい何なのか、まずそこからお話しましょう。
日本のアニメーションならではの作る楽しみを知る
アニメーションスタジオで最大手だった「スタジオジブリ」の仕事で新人用に歩きや走りパターン表を作ることがありました。宮崎さんにそうだんしたら、「そういうものは作らなくていいよ。その作品、そのカットによって、キャラクターの感情・気持ちで歩き方、走り方は全部違うのだから」
長年この業界でやってきた先輩に技術を叩き込まれて、知らず知らずのうちにアニメーションとは何であるかということは考えるようになっていました。そして、このとき初めて言葉に置き換えられたのだと思います。
「アニメーションはパターンじゃない」
キャラクターでも物体でも、ひとつの個性、性格、感情を持った動きをして、いきていると感じさせるものを作る、それがアニメーションを作るということ。ただ「人間らしく動く」のではアニメーションといえないのです。
1:「佐藤君が」
2:「怒って」
3:「走っている」
1:「アインシュタインという名前の椅子が」
2:「自分の4本の足で」
3:「歩き始めた」
そんな、命を感じさせるような作品でなくてはならないと思います。
アニメーションを作るとき、常に思い願っているこのことは、たぶん、世界中にいるアニメーターみんなの気持ちなんだとお思います。
セルでのアニメーション(2Dアニメーション)業界に入ったわけでもなく、それこそ雑誌の特集記事や書籍などだけを参考にしている方は多いと思います。ですが、入門講座で教えること、キャラの歩かせ方、走らせ方、振り向かせ方などなど・・・・・。それはあくまで基本でしかないことを忘れないでください。実は、これではまだ「アニメーションを作る」作業には入っていないのです。
もちろん、実作業に入ったときはその基本を知らなければ先に一歩も進めませんから、理屈は知っておくべきです。ただ、スタートラインを間違えることがないようにしたいものです。アニメーションを作る本質の楽しさを知るために。しかし、残念ながら、動かすだけに終わってしまっている、つまりアニメーションしていないムービーをよく見かけます。たぶん、それを作った人はアニメーションさせるということの意味を誤解し、アニメーションを作る楽しさを見逃しているのではないかと思います。
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