2Dアニメーションでは表示されている画の枚数が違う
軌道線とはどんなものか
次に「軌道線」について、今度は具体的な2Dアニメーターの製作工程を見ながら説明していきたいと思います。簡単に言ってしまうと、軌道線というのはキャラクターや物体の動きの流れをせんでつないだものです。キャラが演技をするしないに関係なく、ドアが開く、ボールが転がるなど物体が動くときにできる軌跡、それに沿って、常に軌道線ができるわけです。それゆえ2D、3Dにかかわらずアニメーターという人たちは、自分たちの手で動きを設定しなければいけないので、作業の中でこの「線」を非常に大切にしています。アニメーとするものによっては、「運動曲線」「放物線」などいろいろな呼び方はありますが、ここではすべて「軌道線」で統一して話をすすめます。
なぜこれが大事なのか。これはボールを投げたときなどがわかりやすいです。きれいな山なりで飛んでいくのは誰にでもわかります。
キャラクターの動きにこの線を見つけていくのがアニメーターの仕事なのです。同じ絵を描く仕事でもイラストレーターや漫画家さんと違うのはここですね。「キャラクターが振り向く」というアニメをつくろうとしたら、正面顔と横顔で、鼻の位置、全体の大きさなどが同じなるように気を付けなければいけませんね。一枚でも顎が小さい画がはいると、動きはなめらかじゃなくなります。業界用語で「ガタル」といいますが、文字通り途中で流れは途切れてしまいアニメが成り立ちません。動画を描く新人は実際にこの線を紙状に描いて、その中におさまるように中間の顔の画を描いていきます。この作業方法はデッサンの狂いを防ぎ、先輩アニメーターの動きを勉強するにも有効で、一番最初に教わるテクニックでもあります。
原画で基本の動きが決まる
ベテランアニメーターは一見、キャラクターをいかにかっこよく、かわいく描くかだけを主眼にして作業しているように見えます。しかし、本当は1枚1枚の画が次の画にいかに繋がっていくか、という考えのほうを優先に絵を描いています。2Dのアニメーション製作工程においては、原画(キーフレーム)と動画(ソフトによるレンダリング)を別の人間がつくるという制作システムの特性もあり、共通項として、動きのイメージや実作業上において「軌道線」はなくてはならないものです。もっと複雑な演技をする時の「軌道線」はどうするんだ、それに3DCGでつくるときはどうするんだとちょっと不安になってきましたか? 難しく考えることはありません。これは復習です。シナリオや絵コンテを読んで自分がキャラだったらどうするか、どういう演技をするか、まずはそれを考えて、漠然としててもいいですから、流れを線で表現してみましょうこういったさぎょうで経験を積むと、滑らかな曲線を描くためには、具体的に動画があと何枚必要になってくるか、必然的に考えるようになってきます。また、動きをゆっくりにする(動きを詰める)や、前にお話しした止めというのも付け加える要素として出てきます。